社員ブログ
みなさまこんにちは、ネオス海外事業広報担当のアオサギです。
ネオス海外事業紹介、第2弾はネオスケミカルタイランド(以下 NCT)です。現地責任者のマサさんに長時間オンラインインタビューをしました。かなりセキララに現状をお話いただきました!

■ Sriracha シラチャ 東南アジア有数のモーターシティ
アオサギ:
マサさんはいつからNCTで就業されているんですか?
マサ:
私自身はネオスで働く前からタイで仕事をしていました。ネオスに入ったのが2017年でしたが、そのころにはタイ語は不自由なく話ができる程度に現地に馴染んでいました。NCTは設立して数年でしたが、現地事情に通じた日本人マネジャーを必要としていたので採用されたのだと思います。
アオサギ:
入社された頃は首都バンコクにネオスの事務所があったんですね。
マサ:
そうです。しかしながら2020年コロナパンデミックにより厳しいロックダウンが敷かれ、県を超えての移動もままならない状況となりました。ネオスの商品はすべて製造現場で利用されるものですし、特にNCTのお客様は自動車関係が多かったので業務の利便性を考えて ここ シラチャに事務所を移しました。完成車だけでなく構成する部品メーカーも多くがこの地域にあります。タイはASEANでインドネシアにつぐ経済規模がありますが、特に自動車製造では突出しています。バンコクからシラチャは1時間くらいで輸出入港のレムチャバンも含めて EEC 東部経済回廊と呼ばれています。まさに東南アジアのモーターシティ=自動車の都というのに相応しい町です。

アオサギ:
ASEAN各国は製造業に力を入れていると思いますが、特にタイが自動車で成功した理由は何でしょうか?
マサ:
サプライチェーンが完備しているということと、輸出拠点にもなったということが大きいと思います。タイで販売されている自動車は現地生産のものを中心に日本ブランドが8割を占めます。完成車メーカーだけでなく各部品メーカーもほぼ進出しています。

マサ:
タイでは独自の進化を遂げたモデルがありそれがピックアップトラックです。米国で人気の車種とはちょっと趣が違って、まず単価が安い。特に農地が多い北部・東北部、漁業が盛んな南部では、悪路に強く荷台に荷物や人を乗せることができるため、大家族向けファミリーカーとして長年定着しています。
この車種が中東やオーストラリアなどでも結構な人気になっており、タイの自動車生産は半分以上が輸出向けです。
■ タイ経済の3重苦
アオサギ:
現状、世界的に景気は芳しくないですが、タイはなかでも厳しいようですね。
マサ:
いや、ほんとうに大ピンチなんですよ。
タイを支える2大産業は自動車を中心とする製造業と海外からたくさんのツーリストが来る観光業です。製造業が30%、観光業が20%くらいの比率でバランスよくどちらも発展していたのですが、コロナ禍でまず観光が大打撃を受けました。近年は中国からのツーリスト比率が圧倒的に多かったのですが、一時期ほぼ0になった。
これが2022年くらいに急回復してコロナ前に戻るレベルまで来ていたんです。ところが昨年から今年にかけて中国人が誘拐されてミャンマーに連れて行かれ、詐欺の片棒を担がされるという事件が相次ぎました。中国人はタイ経由でミャンマーに連れて行かれるというパターンが多かったことから、観光地としてのタイの人気がガタ落ちになりました。

またタイ国内の景気悪化の原因は、そもそもタイでは家計に占める負債の比率が高いことにあります。(GDPの90%と東南アジア諸国では断トツに高い。)住宅・自動車ローンだけでなく、生活費なども前借りしている家が多いんです。そうすると現在のような不景気では立ち行かなくなる人が激増する。ローンを組んで自動車を変えるような消費者が減って自動車販売量は落ち込んでいます。バーツ高と人件費高騰で輸出も芳しくないため、負のスパイラルにはまっているような状態です。

マサ:
自動車産業では泣きっ面に蜂のようなことがまだあります。
タイでは将来を見据えてタイに投資をする外国資本をずっと優遇してきました。なかでも、これから成長が見込めるEVには投資優遇だけでなく、個人向け購入補助も行ってきました。ここにうまくのったのが中国ブランドのEVです。現在、まだタイ国内工場は建設中という会社が多いのですが、輸入という形でかなりタイの市場で存在感を増しています。
■ バンコクモーターショー ショック!

マサ:
こうした状況を象徴するようなニュースがあります。バンコクモーターショーは東南アジア最大と言われる自動車展示会です。展示するだけでなく、車を即売するイベントとしても有名です。
今年3月に開催された第46回バンコク国際モーターショーでは乗用車販売の65%がEVでした。また、毎年販売トップは日系企業が争っていたのですが、昨年は中国ブランドのBYDがトップになりました。
(2025年4月21日 JETROビジネス短信 から引用)
リンク先 JETRO公式サイト
上記したようにタイ政府から補助金等の後押しがあり、メーカー側もシェアを取るために相当に強力な価格、販促戦略をとってきた結果ではあります。しかし、実際に売上は落ち込み昨年来、複数の日系車体メーカーが、工場集約・撤退を発表したこともあり、先行きに強い不安感はあります。
■ お客様とともに新たな進路へ!
アオサギ:
マサさんとしては打開策をどこに見出そうとされていますか?
マサ:
まず既存のお客様にとっても現在は特にひどい状況ではありますが、いきなりピンチが訪れたわけではありません。EV対応はもちろんのことあらたな業態や輸出先に拡大することは必死にやられており、まずはネオスもそれについていく準備はしています。
自動車と自動車部品以外の業態への販売を増やすこともずっと試みています。
すべての製造業が厳しいといえば厳しいのですが、自動車と比較するとダメージの小さい産業をターゲットにしています。 例えばホームアプライアンス、農業機械、建設機械、ハードディスクドライブなどはタイにサプライチェーンが整っており、これら業界への売上比率を上げ、自動車産業に依存しすぎない状況へ変わろうと努力しているところです。

ここ数年で中国メーカーのタイ進出が際立っており、ネオス上海とグループ間で連携を密にとりつつ、中国メーカーのタイ進出をサポートする取り組みを始めました。ボリュームはまだまだ小さいですが、ネオス上海で実績がある中国系顧客での採用、販売も始まっています。今後は、販路拡大はもちろん、タイ市場にマッチした製品開発提案・上市、タイ国内の委託製造先探索、製造開始によるコスト低減など、あらゆる方法を模索、挑戦しながら成長し続けたいと思います。
最後にタイでは3年前から社会貢献活動を始めました。この活動を通じ従業員全員の社会に貢献する気持ちが強まりつつあります。今後はタイ国に対するベストサポーターになると同時に、ネオスの海外グループ拠点として従業員一丸となり貢献し続けてまいります!ありがとうございました。
アオサギ:
最後は力強い宣言で締めていただけました!NCTの社会貢献活動については、同席したPR事務局スマイリーが改めて報告します。タイでのネオスの活躍、楽しみです!
ネオスケミカルタイランド マサ
海外事業広報担当 アオサギ