社員ブログ

はじめまして! 海外事業広報担当のアオサギです。
今月からこのコーナーでネオスの海外事業を紹介していきたいと思います。
第一弾となる今回は、中国事業について。ネオスの中国事業の責任者であり、海外事業部門全体を統括するカズさんに、さまざまなお話を伺いました。
カズさんは、工業用薬品を製造・販売する化学品事業の営業として活躍し、2018年からは中国・上海の責任者として現地に駐在。
毎年着実に成果を重ね、現在ではネオス最大の海外子会社である「尼欧斯(上海)商貿有限公司」の責任者でもあります。
■ 日本にいた頃は「中国だけは勘弁」——今や「住めば都」「人情が身に沁みる」
Q. カズさんが中国市場に関わるようになったきっかけは?
カズ:
2016年から本社で海外市場を担当するようになったのが始まりです。正直に言うと、当時は「中国だけは勘弁して欲しいな」と思っていました。
日本にいると、中国に関する良いニュースがあまり流れない(ネガティヴ情報が多い)し、「日本人はあまり好かれていない」等といった話をよく聞いていたので……。
でも、実際に業務を通じて子会社の社員やお客様と関わるうちに印象が変わっていきました。まさに「住めば都」です。今では中国での成功はネオス全体の成長にとっても重要な鍵だと考えています。

- 地下鉄、飛行機、営業車と中国中を移動しまくる日々です! EV用充電スタンドも街中で普通に目にします。
■ コロナ禍で感じた中国の人情
Q. 2020年、新型コロナが流行した時期も上海にいらっしゃいましたね。
カズ:
はい。当初は上海の東エリアが封鎖(1週間)、その後に西エリアが封鎖(1週間)と、それぞれ1週間程度で解除予定でした。それが何と約3ヶ月の封鎖となり、その間「部屋から出るな」というお達しが出て、お店も閉まり、配達も止まりました。食料等は政府からの配給品のみで、本当に参りました。
そんな中、普段あまり接点のなかったマンションの住人(中国人)から「大丈夫か?」と声をかけてもらったんです。
お水や食べ物を分けてくれたりして、本当に助かりました。
困っているときはみんなで助け合うという精神が、とても強く感じられましたね。中国の方の人情が、身に沁みました。

■ B2Bの主戦場、製造業の本場・中国
Q. 景況はいかがでしょうか?
カズ:
新型コロナによるロックダウン解除されて以降、中国市場の景気はそれ以前に比べ、良くありません。急成長の時代が長く続いたことで、市場の各所に歪みや調整不足が出ていると感じます。
Q. 市場全体が危機的ということですか?
カズ:
そこまでは言いすぎの感がありますね。もし中国市場が危機なら、世界全体の危機に繋がります。
GDPで米国と競っていると言われる中国ですが、製造業に関しては2010年に米国を抜いて世界一になっています。2020年時点では、製造業付加価値額で米国の約2倍の規模になっており、高度な技術分野では企業間の違いはあるものの、B2Bビジネスにおいて「中国抜き」はもはやナンセンスです。

※ 世界銀行データ「製造業付加価値額」より引用
※ 「製造業付加価値額」: 付加価値額 = 製造業の総生産額 − 中間投入物
「売上高」から、原材料費や中間投入物(部品・電力・サービスなど)を差し引いた純粋な生産の価値。製造業が生み出した“純粋な経済的価値”を示す指標として有効と言われている。
Q. お客様の構成にも変化がありましたか?
カズ:
数年前までは、ほとんどが日系企業のお客様でした。今も大切なお客様ですし、日本の営業と連携して、きめ細かいサービスを提供しています。只、ここ数年は中国資本のお客様との取引も増やしており、現在では売上がほぼ半々になっています。
Q. 中国資本のお客様の開拓は難しくなかったですか?
カズ:
簡単ではありませんでしたが、絶対に必要だと感じていました。日系企業と中国企業では得意分野も異なりますし、コロナ禍以降、中国国内では「中国製品を使いたい」という意識が非常に強くなっています。「新中式」や「国潮(グオチャオ)」と呼ばれるトレンドですね。

■ 百聞は一見にしかず——リープフロッグが日常に
Q. こうした変化、日本にいると実感しづらいかもしれませんね。
カズ:
そうですね。実際に来て、生活してみないと実感しづらい点は多いと思います。日本でもスマホを使ったQRコード決済は普及してきましたが、中国ではもはや紙幣を使うことは極めてまれです。スリやひったくりに遇う心配はほぼなくなりました。
EV(電気自動車)の普及率が高いことはよく知られていますが、B2B分野でも中国が先行しているケースが数多くあります。例えば、産業としての半導体重視の姿勢や、人型・犬型ロボットの開発競争などが挙げられます。
AIが目的を問わず何にでも使える汎用に向かっているというのは世界中で言われていることです。しかし、汎用の産業用ロボットとして人型ロボットを本気で実用に使ってみようとしているのは中国くらいではないでしょうか。こうした「リープフロッグ」(技術的段階を飛ばして最新技術が普及すること)は、日常的にあちこちで起こっています。これも現地でなければ実感しづらいでしょうね。

カズ:
今後は、AIの現場導入がさらに進み日中のギャップが広がることに脅威を感じています。
最近では、日系企業であっても責任者が中国人というケースも増えてきています。 そういった中で、関係強化をしていくには感性の違いに合わせることも大切です。ネオスの中国子会社にはベテランの中国人営業担当もいますので、そうした面でキャッチアップが出来ていると感じています。

また、自社工場とラボが中国国内にあり、独自の技術対応や商品開発の面でも対応できています。
今後も、皆さんの期待に応えられると確信しています。

海外事業統括、尼欧斯(上海)商貿有限公司総経理 カズ
海外事業広報担当 アオサギ