株式会社ネオス

プロジェクトヒストリー

「チームで挑んだ新たな製品開発」

部門を越えて、NEOSがひとつに。
三位一体の開発によって生まれた新たな油剤、
NESシリーズとは。

営業、マーケティング、研究開発が一丸となり、市場調査から原材料の分析、製品化まで、
まさにゼロからのモノづくりから生まれた新しい切削油剤「NESシリーズ」。
はじめての挑戦、想定外のトラブル、その実現には多くの課題と困難があった。
そんなプロジェクトの最前線において、各部門の連携はどのように生まれ、そこにどのような化学反応が起きたのか。
プロジェクト成功を牽引した3人のメンバーに、当時を振り返っていただきました。

PROJECT MEMBER
01

NESシリーズ開発プロジェクトがスタートした背景とは

NESシリーズ開発プロジェクトがスタートした背景とは
  • ネオスの切削油剤は、従来のNEOSエマルション(※1)シリーズの市場投入から10年以上経過しており、それを超える新商品は生まれていませんでした。そのため、何かアクションをしなければ、ということがきっかけです。

  • それが2016年のことで、ネオスとしてもちょうど3カ年計画のスタートの年でもあったので、それに合わせて今回のプロジェクトも立ち上がったような流れでしたね。

  • ネオスの研究開発は、営業が預かったお客様の要望をもとに行うことが多いのですが、このプロジェクトは、研究開発から積極的にアクションを起こすことが従来と大きく異なりました。

  • プロジェクトの始動に際しては、まず市場のニーズを把握するために、営業に同行してお客様のもとへ訪問し、どのような要望があるのかを直接伺うことからはじめました。これまでも製品の納品先でクレームが発生した場合などは直接伺うこともありましたが、開発要望を聞きにいくというのは初めての経験でした。

  • そこで「ネオス臭」もはじめて実感しましたよね?(笑)

  • そうでしたね。実際にお客様の工場に足を踏み入れた瞬間に、「ネオス臭」と言われる、鼻をツーンとつく臭いを実感し、これは改善しなければと強く感じました。

  • あとは、長期的に使用していると成分が分離し、初期性能を維持できないというデメリットもありましたね。

  • 性能維持(ロバスト)性はずっと課題でしたので、作業環境性(低臭気)と共にコンセプトの柱として開発することになりました。

  • そうですね。切削油剤は、お客様に長く安定してご使用いただくことが大前提の製品ですから。
    あとマーケティングとしては、エリアごとの営業から情報を吸い上げ、全国的な市場で何が求められているのかをまとめました。顧客や切削油剤の全体市場を見て、性能や価格帯などのニーズ分析を行った上で、開発の方向性を検討していきました。

  • 研究開発部門では、切削油剤の市場は低コスト帯を求めるターゲットと、高品質を求めるターゲットの大きく分けて2つのターゲットの需要をいかに取り組むかが課題であると考えていました。

02

プロジェクトを推進する上で困難だった課題とは

プロジェクトを推進する上で困難だった課題とは
  • 一般的に高品質というと機能も価格も高いもの、低価格というと品質が落ちるイメージがあるかもしれませんが、私たちは低価格のものにも汎用性の高い品質を備えることで、切削油剤の市場全体のニーズを幅広くカバーしていこうと考えました。

  • 大きなコンセプトや方向性が定まった段階で私の方で本格的に開発をスタートすることになりました。主に製品開発の主担当として配合検討を行い、製品の配合を決定する役割などを担いました。油剤を作るのは実は初めてで、今回のプロジェクトがどれほど難しいのかもわからない状況でした。

  • 私は入社以来ずっと切削油剤の開発をしていたのですが、経験者の凝り固まった考えや発想だけでは、このプロジェクトは難しいだろうと思い、新しい視点や考え方を持つ人材に担当してもらいたいと考え、(O.Sさんに)依頼しました。

  • 何から話せばいいのかというぐらい苦労は多かったですが(笑)特にコストと性能の両立が相当難しくて、いかに安く、いかに性能を保つかが常に求められました。その課題を解決するために、計画段階で使用する想定だった原料などもいったん白紙にして、ゼロから考えるように努めました。

  • 良い意味で「指示には無い判断」をし、新しい発想で期待を越える結果を出してくれたと思います。

  • 営業サイドとしても、このプロジェクトを推進する営業員を各エリアに配置しながら、開発の狙いと実際の現場の反応やニーズにズレが無いかなど、各エリアに本当に受け入れられるのかを確認しながら進めていきました。

  • あとは、試作品を製作した後、お客様の現場で長期間使用した際、濃度低下のクレームが発生し、その改善を行ったのですが、スピードも求められる中での対応はかなり厳しかったですね。

  • クレーム内容が製品開発のコンセプトでもあるロバスト(性能維持)性に関わるところだったので、改良を急いでもらいながら、スケジュールを調整しました。お客様のもとへ研究開発部門のメンバーと一緒に伺って、どういう原因でこのトラブルが起きたのか、その対策も丁寧に説明して回りました。これ以上コストもかけられない状況だったので、なおさら大変だったと思います。ほんとによく頑張ってくれました。(笑)

  • K.Yさんも営業寄りのスタンスに立つのではなく、営業の視点と開発の視点を持って、「この製品を売っていくためにはどうすれば良いのか」というあくまで中立的な立場で対応してくれたのは、開発サイドとしてはとてもやりやすかったですね。

  • 私も元々このプロジェクトが立ち上がる前はエリアの営業担当でしたので、営業サイドの気持ちは痛いほどわかります。ただ今回のプロジェクトに関しては、開発サイドの考えを考慮しながら、それを営業に理解させ浸透させるためにどうすれば良いかを意識していました。

  • 営業と開発とマーケティング、三位一体で動かなければきっと成功できなかったプロジェクトでしたね。

03

プロジェクトに参画して今思うことは

プロジェクトに参画して今思うことは
  • まだまだプロジェクトも道半ばですが、営業と開発の連携をより強めていくということの大切さを改めて感じましたね。今回は営業と開発の連携でしたが、さらに生産であったり、他の部署とも連携していくことで、ソリューションの幅も広がりますし、今後のネオスのブランド力を高める鍵になるのではと思います。

  • 部署を超えて連携することで、開発のスピードは格段に早くなると実感しました。研究開発は常にスピードとの勝負でもありますので、迅速な対応はネオスの技術力への評価にもつながることになるでしょう。

  • これまでは正直、顔も知らない営業メンバーもたくさんいましたが、このプロジェクトを通して多くの営業メンバーとの距離が近くなり、その後の仕事での連携もとてもスムーズになりました。現場の課題を知っている営業メンバーと、製品開発を実際に行う開発メンバーが連携することで、より市場のニーズに合った製品開発が可能になると感じました。

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このプロジェクトが描く未来とは

  • この度新たに開発したNESシリーズ(※2)では、従来シリーズのネオスエマルションを越える売上達成はもちろん、開発段階での市場規模においても、一定規模のターゲット市場を見据えています。お客様からも高い評価をいただくなど手応えはありますし、今後は海外展開も視野に、海外部署とも積極的に連携を図っていきたいですね。

  • 切削油剤という製品自体は、海外でも求められる性能が大きく変わらない製品なので、このラインナップを基盤とした海外展開に向けて、開発部署サイドでも具体的に動き出しているところです。

  • このプロジェクトによる成長を私自身が一番感じています。自分の考えやアイデアを駆使し、仕上げることができたという成功体験は大きな自信になりました。こういった難易度の高い製品づくりを、次は私よりも若い世代に経験して欲しいと思います。

  • このプロジェクトに参画しているメンバーは基本的に若い世代が中心でしたので、良い事例になるかもしれませんね。

  • 若いメンバーが中心となって、本当に良い製品ができたと思っています。この場を借りて、携わってくれた人みんなにお礼を言いたい気持ちです。

  • 油剤の市場でいうと、競合他社に比べてネオスは幅広い商材を扱っている分、他の部署の技術や知見を組み込んでいける点は、これからも大きな強みになると思います。

  • 営業、研究の連携によって、トータルバランス力をさらに高めて、油剤といえばNEOSと認知されるように、これからも手を取り合って協力していきましょう。よろしくお願いします。

プロジェクトに参画して今思うことは

※1 エマルション/切削油剤の一種。油と水と界面活性剤によってできており、油が入っていることによって潤滑性が高く、加工もしやすく錆びにくいといった利点がある。

※2 NESシリーズ/「NEOS Emulsion Strategy」の略。切削油剤の中でエマルションに分類される油剤で、従来品のデメリットを改善した全く新たなエマルションとして開発された。

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